寺川ムラまち研究所

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ねこまちづくり私論
(ねこがまちを救う)
1.生業とねこ
ねこは、生業がしっかりと息づいているまちに多く生息しています。一次産業に限りません。もちろん、漁村や農村に多く生息していますが、大田区の中小企業が多く集積する所や下町の職人まちなどにも、また地域の元気な商店街にも多く生息しています。
生業がしっかり息づいている所は、生業と暮らしが一体となっているところが多く、これもねこが生息しやすい要因です。
24時間、人の営みがあり、かつ忙しく元気に暮らしかつ働いているようなところ、つまり忙しくてねこにあんまりベタベタ構ったりしないところ。(でも仕事の息抜きや仕事が終わったあと、夕涼みの時などに少し構います。)

2.路地とねこ
ねこは、路地がしっかり機能しているまちに多く生息しています。
ねこは塀の上や屋根づたいに移動しますが、やはり地上に降りてきます。その時にできるだけ狭い空間を伝って歩くのが好きです。そこで活躍するのが路地です。
路地には車が入ってきません。路地がしっかり機能している所は、鉢植えや縁台など、いろいろなものが路上にあり、凸凹していて隠れるところがいっぱいです。ねこはそれが好きです。
路地が多くあるまちは、路地ばかりでなくて少し広いみちもあまり真っ直ぐではなく、昔からのみちが残っているところが多いです。そこでは車が通ってもあまりスピードを出しません。つまりねこも安心です。

3.鍵とねこ
ねこは、治安がしっかりと守られているまちに多く生息しています。
イエねこは、自由にイエとソトを出入りするのが好きです。つまり、一番好きなのは開けっ放しのイエです。開けっ放しでも安全なまち、いつも何となく人が暮らし、働いていて、お互いに何となく見守っていて、それで治安が保たれているまちです。お節介ではなく、適度にお互いが干渉して(気にして)いるまちは、まちの一員であるねこにとっても居心地が良いのです。

4.海とねこ
海辺のねこは、かっこいい。岩合さんのねこ写真を見ると、潮風に鍛えられたような島や海沿いの漁村のねこが写っています。ちょっと面構えがちがうような気がしますが、気のせいでしょうか。
港町にもかっこいいねこがいるような気がします。海外航路が着くような港町でも、人やモノが様々に行き交い、観光・物流・漁業・ギャングなどが渾然と存在するなかで、ねこがいきいきと生息していそうです。そして、人の世界もねこの世界も国際的な交流と、その結果としての混血種の魅力が炸裂していそうです。(妄想です)

5.被災地のねこ
東北の被災地にねこがいません。
海沿いの漁村では生業がずたずたになり、まだまだ再生していません。生業と暮らしが一体となったまちづくりが進んでいません。ねこが帰れるまちのめどが立っていないのです。
津波に流されたまちは、ガレキだけが片づき何にもない空間が広がっています。ねこの隠れるところもありません。工事車両がビュンビュン行き交っていて、おちおちねこも歩けません。
高台移転して、ねこはどうしようか悩みます。住宅だけのまちでキャッツフードをもらって生きていきたくはないのです。

6.ノラねことイエねこ
ノラねこが適度に生息するまちは人もまちも経済も余裕があるところです。ノラねこがまちの一員として居られるまちは魅力的なまちです。
イエねこは豊かで毛並みもよく、健康に暮らしています。一方ノラねこは強い生命力を持ち、タフに暮らしています。ノラねこの強い生命力は時として健康なイエねことの交流で種の保存を図ります。ノラの持つ強い遺伝子と、生まれる子どもの生息環境の両方が満たされる良い方法です。
こうして、ノラとイエが交流してより強いねこが存続していくことになります。めでたしめでたし。

7.ねこ遭遇頻度とまちの魅力
ねこ(これはノラもイエも)はよいまちに多く生息します。
まちを歩いていて、ねこと遭遇する頻度が高ければ高いほどよいまちです。(断言します!)
まだ、研究途上です。いったいねこ遭遇頻度がどのくらいまであれば良いまちで、どのくらい低下すると悪いまちになるのか。ねこおばさん、ねこおじさんは居た方がいいのか否か。ねこの柄やしっぽの長さとまちの魅力に関係はあるのか。ノライエ比率の適正値はあるのか。
また、バランス的にはイヌくんはよいまちの指標に貢献するのかといった新たな問題もある。


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